助成金は国や地方公共団体、あるいはそれに準ずる機関が募集して、募集要件に合致していれば受給することが出来るお金で、返済する必要がありません。助成金は、補助金のように応募しても審査があり、その審査に通過しなければ受給できない資金ではないということもあり、資金対策の一つとして企業に人気があります。ただ、この助成金は企業向けで個人事業主に対しても給付してくれるのかという疑問があるかと思います。結論から言いますと、助成金には個人事業主に対しても給付される助成金もあり、実際にどのような助成金があるのかということをご案内したいと思います。

個人事業主が受給できる助成金

では実際にどのような助成金が個人事業主に給付されるのかというと、新たに従業員を雇用することに対する助成金や従業員の雇用環境を改善することに対する助成金、あるいは労働者の生産性を改善することに対する助成金などがあります。したがって、個人事業主の方が従業員を雇用して事業を拡大することを検討していたり、従業員の労働環境を改善していることを検討している場合は、対応する助成金が色々とあります。その中でトライアル助成金は社会性の高い助成金ですので、詳細にご説明した思います。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、ある一定の期間従業員を雇用すると、ハローワークなどから給付される助成金です。いくら支給されるのかというと、1か月単位で最大3か月分が、まとめて支給され、金額は一人あたり月額最大4万円で(母子家庭の母等・父子家庭の父の場合5万円)就労日数により支給額が変動します。したがって、上限支給額は一人あたり12万円、母子家庭の母と父子家庭の父である場合は一人あたり15万円支給されます。

次にトライアル雇用助成金の要件について厚生労働省に記載されている要件を抜粋して、ご説明したいと思います。助成金の給付を受けるためには、これらの5つの要件をすべて当てはまる必要があります。

該当する労働者の要件その1

雇用対象者の要件についてハローワーク、地方運輸局(船員となる場合)または職業紹介事業者(以下「ハローワーク・紹介事業者等」という。)の職業紹介の日(以下「紹介日」という。)において、次の要件に該当していない労働者です。
・安定した職業に就いている者
・自ら事業を営んでいる者又は役員に就いている者であって、1週間当たりの実働時間が 30 時間以上の者
・学校に在籍している者( 在籍している学校を卒業する日の属する年度の1月1日を経過している者であって卒業後の就職内定がないものは除く。)
・トライアル雇用期間中の者
このようにまずは安定した職業に就労していない人であるということが要件となっていますね。

該当する労働者の要件その2

・紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者
・紹介日において学校を卒業した日の翌日から当該卒業した日の属する年度の翌年度以降3年以内である者であって、卒業後安定した職業に就いていないもの
・紹介日前2年以内に、2回以上離職又は転職を繰り返している者
・紹介日前において離職している期間が1年を超えている者
・妊娠、出産又は育児を理由として離職した者であって、紹介日前において安定した職業に就いていない期間(離職前の期間は含めない。)が1年を超えているもの
・紹介日において就職支援に当たって特別の配慮を有する次のa~hまでのいずれかに該当する者
1.生活保護受給者
2.母子家庭の母等
3.父子家庭の父
4.日雇労働者
5.季節労働者
6.中国残留邦人等永住帰国者
7.ホームレス
8.住居喪失不安定就労者
こちらも就労意欲はあるものの、経済的に色々と問題があったり、不安定な雇用であるということなどが労働者の対象でもありますね。

個人事業主の要件

次の3つの要件は、個人事業主の要件になります。

・ハローワーク・紹介事業者等に提出された求人に対して、ハローワーク・紹介事業者等の紹介により雇い入れること
・原則3ヶ月のトライアル雇用をすること
・1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度(30時間(上記(2)d、gまたはhに該当する者の場合は20時間)を下回らないこと)であること

このように様々な理由で安定した就労が出来ない労働者を雇用するということを目的が達成される助成金です。